2019年6月11日火曜日

ひらがなの「つ」の出どころについて

ひらがなが漢字の草書体をもとにしてできたと考える時、「つ」の元は「川」であるとされるのが多い。それが正しいとすれば、なぜ「川」が「つ」と読めるのかが疑問になる。
ちなみに漢字「川」のよみには「セン」がある。このことを考えると、「つ」とよむのは漢字の音ではなくて意味を利用して字を当てたと考えられる。「山」のよみに「サン」ではなくて「やま」を当てるのと同じ方法である。
江戸時代の年貢を納める手順を調べるとコメの産地の貯蔵庫「郷倉」から船積みの場所「津出し場」まで運んで「津出し」する。「津出し」は廻船に積み込むことをいう。
こういうときの「津」は「みなと」をいう語である。輸送経路が海である場合も川である場合も船積みする「みなと」が津である。川筋の「津」を意味するつもりで、川から離れた地域で「津」のかわりに「川」ということが生じる可能性は小さくないと考える。ここに「つ」が「かわ」に代わる可能性があった。ここで「川」の読みに「つ」が当てられるようになったと考える。これは江戸時代の用語からの考察ではあるが、古い時代にこういう交替がすでに起きていたと想像する。輸送経路あるいは運送の歴史を考える時、陸路より海路または水路によるほうが便利であったろうことは明らかである。輸送に関係する「つ」が探索できれば解明できるだろう。「つ」と「かわ」の交替を証するような事例が発見されることを期待している。(2019/6)

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